肛門に違和感…肛門の疾患一覧
肛門の病気といえば、いぼ痔・切れ痔がよく知られています。それ以外にも、肛門のまわりに膿が溜まる肛門周囲膿瘍、肛門の中とお尻の皮膚をつなぐトンネルが形成される痔ろう、直腸の粘膜または全体が脱出する直腸脱、
肛門ポリープ、肛門掻痒症など、さまざまな疾患があります。
明かな症状はもちろん、ちょっとした違和感に気づいた時にも、お早目に当院にご相談ください。
いぼ痔(痔核)
肛門の近く、皮膚にできる外痔核と、直腸粘膜にできる内痔核に分けられます。繰り返しの過度のいきみなどにより、毛細血管の集まる肛門周囲の皮膚・粘膜に膨らみが生じることで発症します。
切れ痔(裂肛)
いきみ、硬い便などによって肛門が切れてしまう痔です。20~40代の女性によく見られます。痛みや少量の出血などの症状を伴います。生活習慣・排便習慣を改善しないと高い確率で再発します。
あな痔(痔ろう)
肛門周囲膿瘍が進行することで、肛門の内側の粘膜と、お尻の皮膚とをつなぐトンネルが形成される病気です。中から膿が排出され、下着を汚します。トンネルが自然に消失することはなく、放置していると枝分かれし肛門機能を障害します。男性に多い肛門疾患です。ごく稀に、がん化します(痔ろうがん)。
肛門周囲膿瘍
歯状線の内側にある肛門陰窩というくぼみで細菌感染・炎症が起こり、膿が溜まり痛み・腫れが生じる病気です。放置していると、あな痔へと進行します。
症状
- 肛門周囲の痛み、腫れ
- 微熱
- 倦怠感
原因
肛門陰窩には、通常便が入り込むことはありません。しかし、激しい下痢などがあると便が入り、細菌の感染・炎症を起こすことがあります。クローン病や潰瘍性大腸炎の合併症として発症することもあります。
治療
局所麻酔の上、肛門周囲の腫れに対して切開を加え、膿を排出させます。進行している場合には、腰椎麻酔が必要になることがあります。
また原因となる下痢がある場合には、食事指導・整腸剤の使用なども必要です。
肛門ポリープ
肛門周囲にできる、良性腫瘍です。慢性的な肛門の圧迫、炎症などを原因として発生します。悪化すると、出血や痛みを伴います。
症状
- 肛門の違和感
- 便が引っかかる感じ、残便感
- 血便
- 痛み
原因
習慣的ないきみ・便秘などによる慢性的な圧迫、炎症などが原因となります。いぼ痔・切れ痔に合併するケースもあります。
治療
小さいポリープは経過観察します。症状が気になる場合には、日帰りでの切除を行います。またいぼ痔・切れ痔がある場合には、その治療も必要です。再発防止のため、生活習慣・排便習慣の改善にも取り組みます。
肛門周囲炎
肛門周囲に、強い慢性的なかゆみが生じる病気です。かゆみから引っかき、炎症・出血を起こすこともあります。
悪化すると、痛みに変わり、症状が遷延していきます。
症状
- 肛門周囲のかゆみ、赤み
- ひび割れ、ただれ
- 炎症、出血
- 入浴後や夜間の痛み
原因
過度の洗浄、トイレットペーパーによる拭きすぎ、便・汗などによる刺激、真菌感染、肛門の皮膚疾患などを原因として発症します。
治療
原因を特定し、取り除くことが大切です。必要に応じて、ステロイド外用薬、抗真菌薬を用いた薬物療法を組み合わせます。
直腸脱
直腸の一部、あるいは全体が肛門外へと脱出してしまうことを指します。ご高齢の方、経産婦の方によく見られます。
症状
- 排便時の直腸の脱出、違和感、出血
- 便失禁
原因
便秘、過度のいきみ、骨盤底筋群の衰え、出産・神経障害による骨盤の損傷などが原因となります。
治療
便秘を改善するための生活習慣指導、骨盤底筋トレーニングなどを行います。進行している症例では、手術が必要になることもあります。
毛巣洞
お尻の中央に発生する皮下の袋状の病変です。思春期以降の男性によく見られます。
症状
- お尻の中央の痛み、腫れ
- 発熱
- 瘻孔(膿のトンネル)
原因
習慣的な長時間の座位、汗・摩擦による繰り返しの刺激などが原因と言われています。
治療
切開し、膿の排出を促します。根本的な治療として、手術を選択することもあります。
再発防止のため、患部の清潔を保ちます。
恥ずかしさに配慮した
肛門疾患の診療体制
患者さんの「恥ずかしい」というお気持ちから受診が後回しになることのないよう、プライバシー、お気持ちに十分に配慮した診療を行っております。
Step.1来院・受付
ご来院後は、まずは受付にお声がけください。健康保険証、お薬手帳などをお預かりします。
また問診票をお渡ししますので、ご記入ください。
Step.2問診
問診票を拝見しながら、改めて医師が問診をいたします。肛門の症状や排便状況、服用中のお薬などについてお尋ねします。
Step.3診察準備
診察台に横になっていただきます。症状が現れている位置・範囲にもよりますが、基本的には下着をずらすだけで構いません。また必要に応じて、タオルなどでお肌を覆います。
Step.4診察・検査
視診、医師が手袋をした指で行う直腸診、筒状の器具を挿入して肛門の中を観察する肛門鏡検査などを行います。滑りをよくするゼリーを使用しますので、違和感、圧迫感はありますが、痛みはほとんど感じません。
大腸の病気が疑われる場合など、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)で対応します。
Step.5診断・治療
問診、診察、検査の結果に基づき、診断します。患者さんのご希望も考慮して治療方針を決定いたしますので、ご安心ください。治療方針にご理解・ご同意いただけましたら、治療へと進みます。
