- お腹の張り・腹部膨満感とは
- 放置してはいけない腹部膨満感の
症状チェック - 腹部膨満にはどんな種類がある?
全体的な張りと部分的な盛り上がりの
違い - 腹部膨満感を伴う病気・疾患
- 腹部膨満感のある方に行う検査・治療
- お腹の張りや腹部膨満感の解消法
お腹の張り・腹部膨満感とは
腹部膨満感とは、お腹の張りのことを指します。どこからが張りになるのか、難しいところですが、お腹が苦しいような感じがしたり、ガスが溜まっている感じがしたりと、何らかの不快感があれば腹部膨満感と言えます。
実際には、ほとんどが食べ過ぎによる一時的なものです。ただ、便秘や腹水、あるいは何らかの病気が原因になっているケースもあります。
放置してはいけない
腹部膨満感の症状チェック
以下のような症状が何日も続く場合には、当院にご相談ください。
- お腹が張った感じがある
- お腹が苦しい、痛い感じがする
- ガスが溜まっている感じがする
- お腹がグルグル・キュルキュルと鳴るが、便は出ない
- 排便してもお腹がすっきりしない、残便感がある
- 排便後はすっきりするが、しばらくするとまた張ってくる
受診の際にお伝えいただきたいこと
以下のようなことを医師にお伝えいただければ、検査の選択や診断・治療に役立てます。
- 最近の食生活について(食べ過ぎ、栄養の偏りの有無など)
- いつ頃から膨満感があるか
- どんな時に膨満感があるか、強くなるか
- 膨満感以外の症状について
- 便秘や下痢などの便通以上の有無
- 排便による膨満感の変化
- 服用中の薬
- 妊娠の可能性
腹部膨満にはどんな種類が
ある?全体的な張りと部分的な
盛り上がりの違い
腹部膨満感は、お腹の全体的に現れているのか、部分的に現れているのかによって、考えられる原因が異なります。
全体的な膨満感
お腹全体が張っている場合には、ガスが溜まっているものと思われます。その場合、急性胃炎・萎縮性胃炎・感染性腸炎・便秘・更年期障害・呑気症・心不全などが疑われます。
また、肝硬変・心不全、ネフローゼ症候群、腹膜炎などに伴う腹水によって、お腹全体に張りが生じることもあります。
部分的な膨満感
病気によっては、腹部膨満感が部分的に現れることがあります。おへそを中心として、お腹を9分割し、部位ごとに考えられる病気をご紹介します。
右季肋部
肝硬変、肝細胞がん、急性肝炎、急性胆のう炎
心窩部
胃・十二指腸潰瘍、胃がん、機能性ディスペプシア、膵炎、膵臓がん
左季肋部
腎細胞がん、水腎症、脾腫、膵臓がん
右側腹部
※特定の疾患はなし
臍部
過敏性腸症候群、腹部大動脈瘤、臍ヘルニア、腎細胞がん
左側腹部
※特定の疾患はなし
右腸骨部
急性虫垂炎、卵巣腫瘍、鼠径ヘルニア
下腹部
子宮筋腫、急性虫垂炎、卵巣腫瘍、原壁瘢痕ヘルニア
左腸骨部
卵巣腫瘍、鼠径ヘルニア
腹部膨満感を伴う病気・疾患
腹部膨満感を伴う主な病気には、以下のようなものがあります。
便秘
便秘自体は病気ではありませんが、腹部膨満感の原因としてよく見られます。多くは食生活の改善、適度な運動などによって改善が可能です。大腸がんをはじめとする病気の症状として、便秘が続くこともあります。
腸閉塞
腸管が狭くなったり詰まったりして、便が適切に運ばれない状態です。腹痛、腹部膨満感、嘔吐などの症状を伴い、緊急手術が必要になることもあるため、ただちに医療機関を受診してください。
呑気症
大量の空気を飲み込むことで体内にガスが溜まり、ゲップ・おならが頻繁に出ます。ストレス、食べ方(早食い・すすって食べる)などが原因と言われています。
機能性ディスペプシア
検査では明らかな異常が見つからないのに、胃痛や胃もたれ、腹部膨満感などの症状が続く病気です。発症には、ストレスが大きく影響しているものと思われます。
腹部膨満感のある方に行う
検査・治療
検査について
症状、生活習慣、服用中の薬などについてお伺いした上で、必要に応じて、血液検査、便潜血検査、腹部レントゲン検査、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)・大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)などを行います。
当院では、鎮静剤を使用した、専門医による苦痛の少ない内視鏡検査を提供しております。
治療について
検査で原因疾患が見つかれば、その疾患に応じた薬物療法・生活習慣指導を行います。
疾患が見つからない場合も、食事・運動習慣を見直したり、胃腸の蠕動運動を促進する薬を使用するなどして、症状の改善を図ります。
お腹の張りや腹部膨満感の
解消法
食習慣の見直し
腸内環境を整えるヨーグルト、納豆、キムチ、お漬物などの発酵食品がおすすめです。また、バナナやアボカドに多く含まれるカリウムは、体内の水分を調整し、腹部膨満感などのお腹の症状を改善する効果が期待できます。
便秘ぎみの方は、水分・食物繊維を意識的に摂りましょう。水溶性食物繊維・不溶性食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。
運動習慣の見直し
適度な運動は、胃腸を刺激し、腹部膨満感や便秘などの改善に役立ちます。きつい運動をする必要はなく、ウォーキングのような軽い運動で構いません。楽しめる運動を選択することで、継続しやすく、ストレスの解消にも役立ちます。
ストレスの解消
ストレスの解消は、自律神経のバランスを整え、胃腸の働きの正常化を促します。また、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など、ストレスとの関与が指摘されている病気も多く、その予防という意味でも有効です。
運動、音楽鑑賞、ご友人とのお喋り・食事などで、ストレスをうまく解消しきていきましょう。
