放置してはいけない
便秘の症状チェック
便秘とは、排便の量や回数が少なく、残便感などの不快感を伴う症状です。
病気によって便秘になることもあれば、便秘を放置したために病気になるということもあります。水分や食物繊維の不足、運動不足などによって一時的に便秘になったという経験は多くの方がお持ちですが、便秘が続く、他にも症状があるといった場合には、お早目に当院にご相談ください。
- 3日以上、排便がない
- 1~2日に1度は排便があるが、便が硬い
- 排便後も、便がまだ残っている感覚がある
- 便がコロコロしている
- お腹が張っている
- 便秘薬を飲まないと排便ができない
危険な便秘のサイン
- 5日以上、排便がない
- 便に血液、粘液が混じっている
- 便秘と下痢を繰り返している
- 便が細くなった
- 激しい腹痛がある
- 嘔吐、発熱がある
便秘の種類と原因
直腸性便秘
直腸まで便が送られるものの、そこで留まってしまうタイプの便秘です。
便が硬いために肛門に引っかかっている、直腸のセンサーが鈍くなっているといった原因が考えられます。便意があっても我慢してしまう人は、直腸のセンサーが鈍くなると言われています。
弛緩性便秘
大腸で便がうまく運ばれない、水分吸収にかかわる機能に問題があることで発生する便秘です。
大腸に多量の便が溜まること、水分が過剰に吸収されることで、便秘になります。加齢、食習慣の欧米化、下剤の長期服用などが原因になるケースがよく見られます。
痙攣性便秘
私たちが動かそうとしなくても、胃腸は常に機能しています。しかし、自律神経のバランスが乱れると、胃や腸が適切に働かずに、さまざまな消化器の症状、便にかかわる症状が引き起こされます。その症状の1つとして生じるタイプの便秘です。
便秘を放置すると起こりやすいトラブル

お腹の張り
便が長く腸内にあると、ガスも多くなり、お腹の張りを感じます。ガスは、腸内細菌叢のバランスが崩れることなどで増加します。
腹痛
便が腸内に残っていても、腸は蠕動運動をしようとします。これにより、腹痛が生じます。
肛門の痛み・出血
(切れ痔・いぼ痔)
便秘の方は、排便時にいきむ・便が硬いことが多く、肛門への負荷が大きくなるため、切れ痔やいぼ痔を発症するリスクが高くなります。
便秘を伴う疾患・病気
便秘を伴う疾患には、以下のようなものがあります。
過敏性腸症候群
ストレスなどを原因として、腹痛や便秘、下痢などの症状が続く病気です。下痢型・便秘型・混合型などに分けられます。
大腸がん
初期症状は乏しく、ある程度進行してから、血便、便秘・下痢、腹部膨満感、腹痛、便が細くなる等の症状が現れます。生活習慣との関係が深く、40歳くらいから発症リスクが高くなります。
パーキンソン病
腸の神経が障害され、便秘になることがあります。その他の症状としては、震え、動作緩慢、筋肉のこわばりなどが挙げられます。
うつ病
ひどい気分の落ち込みが続き、日常生活に影響をきたします。興味や関心の低下、倦怠感、疲労感、不眠、食欲不振、便秘など、心身にさまざまな症状が現れます。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、疲労感、寒気、皮膚の乾燥、意欲減退、便秘、徐脈などの症状が引き起こされます。女性に多い病気です。
便秘の時の検査
症状(特に便の状態)、食習慣・排便習慣、既往歴、服用中のお薬などについてお伺いした上で、腹部の聴診や触診を行います。その上で、必要に応じて血液検査、腹部レントゲン検査、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)などを行い、診断します。
当院では、鎮静剤を用いた専門医による苦痛の少ない大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を行っております。
便秘の治療
主に、以下のような治療を行います。
検査で疾患が見つかった場合には、その疾患ごとに適切な治療を行います。
生活習慣の指導
水分・食物繊維を十分に摂る食事、胃腸を刺激する適度な運動、十分な睡眠・規則正しい生活などについて指導します。
また、毎日決まった時間にトイレに行く(出なくても3分ほど座る)、便意が生じた時は我慢しない等、排便習慣についても指導します。
薬物療法
さまざまなタイプの下剤の中から、便秘のタイプ、お身体の状態に合わせて処方します。
下剤の使用はあくまで対症療法ですので、生活習慣の改善、および原因疾患の治療によって、根本的な便秘の解消を目指しましょう。
即効性のある便秘解消法とは
食生活の改善、お腹のマッサージは、便秘に対して比較的早期に効果が得られると言われています。
ただし、長引く便秘については、ご自身だけで解決しようとせず、当院にご相談ください。
食生活の改善
水分、食物繊維を意識して多めに摂ってみましょう。
水分は、水・白湯・ほうじ茶・麦茶など、カフェインの入っていないものを中心に摂ることをおすすめします。コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンクといったカフェイン入り飲料は、利尿作用があるため摂り過ぎないようにしましょう。
食物繊維は、キャベツ・ニンジン・トマト・みかん・リンゴなどに多い水溶性食物繊維、ごぼう・穀類・大豆・イモ類・きのこ類などに多い不溶性食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。
お腹のマッサージ
おへそを中心に、正面から見て時計回りに、指先で半径10cmくらいの円を描くようにマッサージをしていきます。痛みのない程度に、軽い力でマッサージしてください。腸を刺激することで、便秘の解消を図ります。
