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逆流性食道炎

逆流性食道炎とはどんな病気？

逆流性食道炎とは、胃酸などの胃の内容物が食道に逆流し、食道粘膜で炎症が起こる病気です。
短時間の単発的な胃酸の逆流であれば基本的に大きな問題にはなりませんが、逆流する時間が長かったり、繰り返されることで、胃酸に弱い食道が傷ついてしまうのです。
近年、食生活の欧米化などにより、逆流性食道炎の患者さんが増えています。病名を耳にする機会も増えましたが、決して放置していい病気ではありません。慢性的な食道の炎症は、バレット食道、およびバレット食道がんのリスクを高めます。

発症しやすい年齢や生活習慣

逆流性食道炎の原因の1つに、加齢に伴う下部食道括約筋の衰えがあります。そのため、特に中高年の方の発症率が高く、かつ年齢が上がるにつれて重症例が多くなります。
ただ、近年は食生活の欧米化が進んでおり、胃酸の過剰な分泌によって逆流性食道炎が引き起こされるケースが増えています。そのため、若い方でも条件が揃えば十分に発症しうる病気となっています。

食べ過ぎ・早食い

胃に入った食べ物の量が多いと、それだけ胃酸がたくさん分泌されます。早食いは、一度にたくさんの食べ物が胃に入ること、十分な咀嚼がなく食べ物が大きなまま胃に入ることで、やはり胃酸の過剰な分泌を招きます。

高タンパク・高脂質の食事

高タンパク、高脂質の食事は、胃酸の過剰な分泌を招きます。また高脂肪食の摂取は、コレシストキニンというホルモンを分泌し、下部食道括約筋を緩める原因となります。

食べてすぐに横になる

食後すぐ横になると、食道・胃の高さが水平に近くなり、物理的に胃酸の逆流が起こりやすくなります。眠らないにせよ、食後横になることは控えましょう。

腹圧を上昇させる習慣が
ある

しゃがみ込んで作業をする、重い物を持ち運ぶといった習慣は、腹圧を上昇させ、逆流性食道炎のリスクを高めます。特に食後は、こういった作業を避けるようにしましょう。衣類・ベルトによるお腹の圧迫も避けましょう。

肥満

特に内臓脂肪が蓄積している場合、腹圧が高くなり胃酸の逆流、および逆流性食道炎を引き起こしやすくなります。その他、加齢などにより腰が曲がっている方、妊娠中の方も、同様に逆流性食道炎のリスクが高くなると言われています。

逆流性食道炎の症状は？
発熱する！？

胃酸の逆流、食道の炎症によって、主に以下のような症状が見られます。

  • 胸やけ
  • 胃もたれ
  • ゲップ
  • 呑酸
  • 胃の痛み
  • 咳
  • のどの痛み、違和感
  • 声がれ

発熱については、逆流性食道炎の一般的な症状ではありませんが、他のさまざまな疾患でも見られる症状ですので、気になるようでしたら一度ご相談ください。

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎の原因には、以下のようなものがあります。

加齢に伴う下部食道括約筋の衰え

食道の下部にあり、食べ物が通る時だけ開く「下部食道括約筋」は、加齢に伴い徐々に衰えます。食道の下部が緩んだ状態となり、胃酸の逆流が起こりやすくなることから、逆流性食道炎の原因の1つとなります。

暴飲暴食・食生活の欧米化に伴う胃酸の過剰な分泌

食べ過ぎ、早食い、刺激物の摂り過ぎ、高タンパク・高脂質の食事などは、胃酸の過剰な分泌を招きます。胃で胃酸が大量に分泌されると、それだけ食道へと逆流するリスクも高くなります。

腹圧の上昇

肥満、前屈みの姿勢、衣類・ベルトによる圧迫によって、胃酸が逆流しやすくなります。しゃがみ込んで低い位置で作業をする庭仕事などが、胃酸の逆流を招くこともあります。

逆流性食道炎は
寝る姿勢によって悪化する？

立っている時・座っている時と比べて、身体を横にした時には胃酸が逆流しやすくなります。
特に食後すぐは胃酸の分泌が多くなるため、就寝時間の2時間前には、食事を済ませていることが大切になります。
また、就寝時の姿勢も大切です。避けていただきたいのが、右向き寝です。胃は身体の中心からやや左側にあるため、右向き寝だと低い水位でも胃酸が食道へと逆流しやすくなるのです。あまり神経質になる必要はありませんが、横を向いて寝る習慣がある方は、右向き寝ではなく、左向き寝がおすすめです。
また仰向けで寝る方は、頭部を10～15cmほど高くして寝ることで、胃酸の逆流が起こりにくくなります。注意が必要なのは、単に枕を高くするだけだと、寝つきにくかったり、首を痛めてしまう心配があるという点です。肩甲骨のあたりから後頭部にかけて、タオルなどを使って、なだらかな坂を作るとよいでしょう。最近では、このようななだらかな坂を作れる枕も市販されています。

逆流性食道炎の検査

問診・診察の上で、胃カメラ検査（胃内視鏡検査）を行い、診断します。
胃カメラ検査（胃内視鏡検査）では、カメラを通して食道粘膜を詳細に観察できます。逆流性食道炎はもちろん、食道裂孔ヘルニア、バレット食道、食道がんといった他の病気の早期発見にも有効です。また疾患を正確に診断し、適切な治療を選択するためにも、胃カメラ検査（胃内視鏡検査）は重要な検査となります。
当院では、鎮静剤、鼻から通す経鼻内視鏡を用いた、専門医による苦痛の少ない胃カメラ検査（胃内視鏡検査）を行っております。どうぞ、安心してご相談ください。

胃カメラの
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逆流性食道炎の治療・治し方

逆流性食道炎と診断できれば、以下のような治療を行います。

生活習慣の見直し

逆流性食道炎を早く確実に治すためには、生活習慣の見直しが重要です。治療が終わってからも、再発防止のため、見直した生活習慣を継続しましょう。

  • 食べ過ぎ、早食いを控える
  • 脂っこいもの、刺激物、甘いもの、お酒を摂り過ぎない
  • 和食を中心とした食事に切り替える
  • 食後すぐ横にならない
  • 寝る時の姿勢に気を付ける（左向きで寝る、または仰向けで枕を高くして寝る）
  • ベルト、衣類などで腹部を締めつけない
  • 前屈みの姿勢を避ける（特に食後）、時間を短くする
  • 食事、運動に気を付けて適正体重までダイエットをする

薬物療法

胃酸分泌抑制薬を中心に、必要に応じて胃の運動を促進する薬、粘膜を保護する薬などを処方します。
症状が落ち着いてからも、自己判断で使用を中止しないようにしてください。

手術療法

食道の狭窄や出血などが続く重症例、重度の食道裂孔ヘルニアがある場合など、手術が必要になることもあります。

逆流性食道炎を悪化させない
食事のタイミングと工夫

食べ過ぎない・早食いを
しない

食べ過ぎ、早食いはどちらも胃酸の過剰な分泌を招きます。
腹八分目を目安に、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。

3食をできるだけ決まった
時間帯に摂る

3食に分けて食べることで、1食あたりの食事量が抑えられます。
また、食事の間隔が4時間以上あると、消化がスムーズになります。毎日、おおよそ決まった時間帯に3食を摂るようにしましょう。

夜遅く食べる場合は消化の
良いものを少なめに

就寝時間の2時間前には、食事を終えておきたいものです。ただ、お仕事の関係などで、どうしても夕食が遅くなるということもあるかと思います。そういった場合には、胃酸が分泌し過ぎないように、消化の良いものを、やや少なめに摂ることをおすすめします。

避けた方がいい食べ物・
飲み物

食べ物
  • 揚げ物
  • 香辛料をたくさん使った料理
  • ケーキ、お菓子
  • 柑橘類、梅干しなど酸味の強いもの　など
飲み物

アルコールはもちろんですが、それ以外にも避けるべき飲み物があります。

  • アルコール全般
  • コーヒー、紅茶、緑茶などカフェイン入り飲料
  • 炭酸飲料
  • 柑橘系のジュース　など