胸焼けとは
胸やけとは一般に、胸が焼け付くような症状のことを指します。ヒリヒリ・ジンジンする、胃酸が上がってくる感じがする等、患者さんによって表現の方法はさまざまです。
また、食べ過ぎや飲み過ぎなどを原因として一時的に起こるものもあれば、逆流性食道炎をはじめとする消化管の病気として起こるものもあります。特に胸やけが1週間以上続く・繰り返される、他にも症状があるといった場合には、放置せず、一度当院にご相談ください。
胸焼けの症状セルフチェック
以下のような胸やけの症状がございましたら、当院にご相談ください。
- 胸が焼け付く感じがある
- 胸がヒリヒリ、ジンジンする
- 胃酸が上がってくる感じがする
- 食べ物や飲み物が通る時に違和感がある
- 胃が突っ張っている感じがある
- 胸の不快感が続いている
胸やけと胃もたれの違い
胸やけは、胸のあたりに生じる焼け付く感じ等の症状の総称です。対する胃もたれは、胃の重い感じ、気持ち悪さ等の症状の総称です。
ただ、患者さんにとっては見分けが難しく、また両方の症状が現れていることもありますので、「いつもと違う」と感じた時には、医師の診察を受けることをおすすめします。
胸焼けの原因や対処法
食べ過ぎ・お酒の飲み過ぎ
食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎは、胃酸の過剰分泌・逆流を招き、胸やけの原因となります。食べ過ぎ・飲み過ぎを控え、消化の良いものを摂るようにすれば、短期間で症状は軽快します。
脂っこいもの・刺激物の
摂り過ぎ
揚げ物、脂身の多い肉、香辛料を多く含む食事も、胃酸の過剰分泌・逆流を招き、胸やけの原因となります。食べ過ぎ・飲み過ぎの場合と同様、これらを控え、消化の良いものを適量摂るようにすれば、短期間で軽快します。
腹圧の上昇
肥満、不良姿勢、妊娠、締め付けの強い服装などによって腹圧が上昇すると、胃酸が逆流したり、胃に長く食べ物が残ったりする原因になります。これらの原因が取り除かれれば、症状は軽快します。
自律神経の乱れ
不規則な生活リズム、睡眠不足、ストレスなどによって自律神経が乱れると、胃腸の働きが低下し、胃酸の逆流や消化の遅れの原因となります。生活習慣を正し、症状の改善を図りましょう。
喫煙
喫煙は、胃の血流の低下を招き、胸やけなどの症状を引き起こします。喫煙をしている人は、できる限り禁煙してください。
胸焼けを伴う疾患・病気
食道がん
喫煙や飲酒を主な原因とするがんです。進行すると、飲み込みづらさ、のどの痛み、声がれ、胸やけなどの症状が現れます。
慢性胃炎
ピロリ菌感染などを原因として、胃で慢性的な炎症が続く病気です。胸やけ、胃もたれ、胃痛、食欲不振などの症状を伴います。長期にわたるピロリ菌感染は、萎縮性胃炎や胃がんのリスクを高めます。
機能性ディスペプシア
検査では器質的な異常が見つからないのに、胃痛や胃もたれ、胃の不快感、早期飽満感などの症状が認められる病気です。発症には、ストレスが関与しているものと考えられます。
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染や薬の副作用を原因として、胃・十二指腸の粘膜がえぐれる病気です。胃痛、胃もたれ、胸やけ、ゲップなどの症状を伴います。重症例では、吐血や下血も見られます。
胃がん
ピロリ菌の感染や過剰な塩分摂取、喫煙などを原因とします。初期症状が乏しく、ある程度進行してから、胃痛や胃もたれ、胸やけ、ゲップ、食欲不振、体重減少などが見られるようになります。
胸焼けの検査・診断
問診・診察の上、必要に応じて以下のような検査を行い、診断します。
胃カメラ検査
食道・胃・十二指腸粘膜を内視鏡で直接観察します。組織を採取して病理検査・ピロリ菌を行うこともできます。当院では、経鼻内視鏡・鎮静剤をご用意し、苦痛の少ない胃カメラ検査（胃内視鏡検査）を行っています。
胸焼けの治療
検査で病気が見つかれば、その病気に応じた薬物療法・生活習慣指導などを行います。
また病気が見つからなかった場合も、以下のような治療により、症状の改善を図ります。
薬物療法
胃酸分泌抑制薬、胃の働きを良くする薬、粘膜を保護する薬などを使用します。
生活習慣の指導
食生活を中心に、生活習慣の指導を行います。胃酸の過剰な分泌・胃酸の逆流などを防ぐ生活習慣により、胸やけを改善します。
肥満の方は、食事療法・運動療法を組み合わせたダイエットの指導を行います。
胸焼けの予防法
胸やけの予防では、以下のようなことがポイントとなります。治療・再発防止においても大切なことです。
食習慣の見直し
食べ過ぎ・お酒の飲み過ぎ、脂っこいもの・刺激物の摂り過ぎは、いずれの胸やけの原因となるため、避けましょう。消化の良いものを、ゆっくりよく噛んで食べてください。
食後すぐ横にならないことも大切です。また、寝る時はやや頭を高くすると、胃酸の逆流・胸やけが起こりにくくなります。
禁煙
喫煙は、胃の血流の低下、胸やけの原因となります。胃がん・食道がん、生活習慣病の予防のためにも、できる限り禁煙してください。
腹圧の上昇を招くリスク因子を取り除く
肥満、不良姿勢、締め付けの強い服装などは、腹圧を上昇させ、胃酸の逆流を招きます。適正体重までダイエットをする、普段から正しい姿勢を意識する、締め付けの強い服装を避けるといったことで、胸やけの予防を図ります。重い物を持つ、庭仕事などで長い時間前屈みの姿勢になるといったことも、できるだけ控えましょう。
お薬を飲む人は十分な水と
一緒に
お薬を飲む人は、十分な量の水（通常はコップ1杯分）と一緒に飲んでください。水なし、または水の量が不足していると、薬の作用が強く現れ、粘膜が傷ついたり、胃酸が過剰に分泌されたりする原因になります。