TOPへ

いぼ痔(内痔核・外痔核)

いぼ痔(内痔核・外痔核)ってどんな病気?

いぼ痔(内痔核・外痔核)ってどんな病気? いぼ痔とは、肛門周囲に集中する静脈が膨らんでできる、いぼ状のできもののことです。痔の中でももっともよく見られるタイプです。
いぼ痔は、内痔核と外痔核に分けられます。

内痔核について

内痔核について肛門の皮膚と直腸粘膜の境目には、歯状線があります。この歯状線の内側、つまり粘膜にできるいぼ痔のことを、内痔核と呼びます。内痔核が外側に脱出してしまう状態を「脱肛」と呼ばれます。
排便時のいきみ癖、力仕事、過量飲酒の習慣、妊娠などによって肛門の血流がうっ滞し、いぼ状に膨らむことで、内痔核を発症します。症状としては、出血と痛み、肛門からの脱出が挙げられます。
脱出してない内痔核は、薬による治療が可能です。ただ、頻繁に脱出する内痔核・脱出したまま戻らない内痔核の場合は、手術を検討します。当院では、比較的小さい1~2個の内痔核であれば、日帰り手術が可能です。痔の硬化療法であるALTA療法、あるいは結紮切除術で治療します。痔が大きい場合、3つ異常ある場合には、術後の痛み・出血の管理、排便コントロールが重要となるため、入院手術をおすすめします。
なお、症状から大腸がんなど大腸疾患の可能性を排除できない場合、大腸カメラ検査をおすすめすることがあります。

外痔核について

外痔核について歯状線の外側、つまり皮膚側にできるいぼ痔です。血豆ができて腫れてしまう血栓性外痔核や肛門の皮膚のたるみで生じる肛門皮垂なども含め、外痔核として、治療対象となります。

いぼ痔の症状
(初期~進行期までチェック)

内痔核の主な症状としては、出血・いぼの脱出が挙げられます。また脱出を伴う場合は、痛みが強く出ることがあります。
外痔核の主な症状としては、肛門周囲の痛み・腫れ・出血・かゆみなどが挙げられます。

初期症状

排便時の出血

排便時に、お尻から出血します。便に血が混じっていたり、トイレットペーパーに血が付着していることで気づくケースが多くなります。

肛門の違和感

肛門に、腫れているような違和感があります。また、軽い痛みを伴うこともあります。

便通の不快感

便が出にくい感じ、排便後も便が残っている感じ等、不快感があります。

進行期の症状

肛門の痛み

外痔核の場合、進行するとはっきりした痛みを感じるようになります。また血栓が生じると、激しい痛みを伴います。

内痔核の脱出

大きくなった内痔核は、排便時に肛門から脱出します。自然に戻る→指で押すと戻る→押しても戻らない(常に脱出している)というふうに、脱出の程度が悪化していきます。

腫れ・しこりの悪化

いぼが大きくなり、違和感・不快感も強くなります。

いぼ痔の原因

習慣的・長時間の座位

デスクワーク、運転などによる習慣的な長時間の座位は、肛門を圧迫し、いぼ痔の原因となります。

便秘・慢性的な下痢

便秘や下痢も、肛門に負担をかけ、いぼ痔の原因になることがあります。

強くいきむ習慣

排便時のいきみは、肛門に負担をかけます。特に便秘の方は、便が硬く出にくいことから、注意が必要です。

妊娠・出産

妊娠、出産時の腹圧の上昇によって、いぼ痔を発症することがあります。

運動不足

運動不足によって肛門周囲の血流が低下することは、いぼ痔のリスク因子の1つになります。

刺激物の摂り過ぎ・お酒の
飲み過ぎ

香辛料がたくさん入った刺激物の摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎは、肛門を刺激し、いぼ痔のリスクを高めます。

いぼ痔の検査

主に、以下のような検査を行います。プライバシー、お気持ちに十分に配慮して対応いたします。

視診・触診

医師が患部を観察したり、手袋をした手で触って、状態を確認します。

直腸診

手袋をした指を挿入し、直腸の中を触ります。ゼリーを使用しますので、基本的に痛みはありません。

肛門鏡検査

筒状の器具である肛門鏡を挿入し、肛門の中を観察します。内痔核の状態、位置、出血の有無などが分かります。肛門鏡検査の際も、ゼリーを使用します。

大腸カメラ検査

大腸がん、大腸ポリープといった大腸の病気が疑われる場合には、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を行います。

詳細はこちらへ

いぼ痔の治療・手術

軽度の場合:保存的治療

薬物療法

主に、抗炎症作用・血流改善作用のあるお薬を用いた薬物療法を行います。

生活習慣・排便習慣の改善

座りっぱなしを避ける、適度な運動をする、刺激物・お酒を控える等の生活習慣の改善です。また便秘や下痢がある場合も、その症状の改善のため食習慣を見直す必要があります。
いきまない、便意を我慢せずすぐトイレに行く等の、排便習慣の改善も大切です。

重度の場合:手術

重度の場合、以下のような治療を行います。
またこれらの治療を行った場合にも、再発防止のため、生活習慣・排便習慣の改善にも取り組みましょう。

ゴム輪結紮術

いぼ痔に医療用のゴムをかけ、締め付けることで血流を遮断させ、いぼの脱落を促します。

ジオン注射(ALTA療法)

ジオン注射(ALTA療法)内痔核に有効となる治療です。薬剤(ジオン注射)をいぼに注射することで、いぼ痔の血流を遮断し、縮小させ、粘膜を元の状態に戻します。切らないいぼ痔の治療として、近年注目を集めています。

ジオン注射の詳細はこちらへ

切除手術

大きないぼ痔の場合は、切除手術が必要になることがあります。よりダメージの少ない手術にするため、切除数を減らす目的に、ALTA療法を併用して手術することもあります。

いぼ痔は押し込めば治るの?

内痔核が大きくなると、排便時に肛門の外に飛び出るようになります。はじめは、排便後に自然に戻ります。しかし次第に、指で押さないと元に戻らなくなります。ただ、指で押して元に戻るといっても、もちろん治ったわけではありません。その後排便時に、再び脱出してしまいます。受診までのとりあえずの対処として指で押すこともあるかと思いますが、痛みがある場合、炎症や出血がある場合、無理に押し込まないようにしてください。
なお、放置していると最終的には指で押しても元に戻らなく(常に脱出している状態に)なります。症状に気づいた時点で、お早目にご相談ください。

いぼ痔のときの排便方法・
注意点

いぼ痔の治療では、排便習慣の改善も重要になります。いぼ痔の再発防止の意味もありますので、以下のような点にお気をつけください。

排便時にいきまない

排便時には、無理にいきまないでください。力を入れず、自然に排便されるのが理想です。便秘で便が硬くなり、いきまないと便が出ないという場合には、その便秘に対する治療も必要です。

排便のためにトイレに
こもらない

便が出てくるのを待ち、長時間便座に座るということは避けましょう。どうしてもいきみたくなってしまいますし、肛門周囲が圧迫される原因になり、痔が悪化するおそれがあります。3分座って排便の気配がなければ、切り上げましょう。

便秘を改善・予防する

便秘になると、便が硬くなり、いきみやすくなり、いぼ痔を悪化させてしまうおそれがあります。水分・食物繊維を多めにとる、適度な運動をするといった習慣により、便秘を改善・予防しましょう。

便意を感じたらすぐに
トイレに行く

便意を感じているにもかかわらず我慢することを繰り返していると、便秘の原因になることがあります(直腸性便秘)。便意を感じたら、我慢せずトイレに行き、排便する習慣を身につけましょう。

お尻の清潔を保つ

洗浄便座を使用したり、シャワーで軽く洗い流すなどして、お尻を清潔に保ちましょう。

身体を冷やさない

身体が冷えると、肛門の血流も低下します。衣類・室温の調整、適度な運動、入浴などにより、身体を温めたり、血流を改善したりすることで、いぼ痔の悪化を防ぎましょう。

いぼ痔のよくある質問

いぼ痔が自然治癒することはありますか?

ごく軽いものでしたら、自然治癒することがあります。ただ、適切な治療を行わないと悪化したり再発を繰り返したりするおそれがありますので、肛門科等を受診し、病態・原因に応じた治療を受けることをおすすめします。

いぼ痔を放置していると、どうなりますか?

次第にいぼが大きくなり、痛みや出血も起こりやすくなります。外痔核、脱出した内痔核は精神的にもストレスになりますので、放置せず、お早目にご相談ください。

いぼ痔を予防する方法はありますか?

長時間の座位を避ける、便秘・下痢にならない生活習慣を身につける、排便時にいきまないことなどが、いぼ痔や切れ痔の予防に役立ちます。刺激物の摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎも控えましょう。

いぼ痔と切れ痔の違いを教えてください。

いぼ痔は肛門にいぼができる病気、切れ痔は肛門が切れる病気です。共通する原因もあり、二つを併発することもあります。

いぼ痔になった時、避けるべき食品はありますか?

香辛料が多く含まれる刺激物、お酒、カフェイン入り飲料などは避けましょう。いぼ痔が悪化するおそれがあります。また再発防止のためには、いぼ痔が治ってからも、これらの食品を摂り過ぎないことが大切です。

内痔核の治療には、どのようなものがありますか?

基本的な治療は、以下の通りです。
出血があるが排便時にいぼが脱出しない(Ⅰ度)、排便時にいぼが脱出するが自然に戻る(Ⅱ度)であれば、軟膏や座薬で治療します。
排便時にいぼが脱出し指で押さないと戻らない(Ⅲ度)、指で押しても戻らない(Ⅳ度)の場合、あるいはⅡ度であってもたびたび脱出するという場合には、手術をおすすめします。

手術は避けたいのですが、他にいぼ痔の治療法はありますか?

バオスクレーという硬化剤を注射し出血を止める治療、ジオンという薬剤を注射しいぼを硬化・縮小させる治療(ALTA療法)などがあります。ただ、バオスクレーは脱出を防ぐ効果が低い、ALTA療法はやや再発率が高いといった短所があるため、Ⅲ度やⅣ度であれば、基本的には成績が良く再発の心配がほとんどない手術をおすすめします。