- 食欲不振とは
- お腹は空くけど食べたくない…
食欲不振の症状セルフチェック - 食欲不振は何日続いたら受診すべき?
- 食欲不振の主な原因
- 食欲不振を伴う疾患・病気
- 食欲不振の検査・診断
- 食欲不振の治療
- 食欲不振のときに自宅でできる対処法
- 食欲を取り戻すための生活習慣
改善ポイント
食欲不振とは
食欲不振とは、通常であれば空腹に伴う食欲を感じる時間帯・タイミングであるにもかかわらず、食欲を感じないという状態です。空腹感はあるのに、食欲を感じないというケースも、食欲不振に含まれます。
疲れている時、精神的に落ち込んでいる時にも、食欲不振は起こります。ただ、そういった食欲不振は疲れが取れたり、気分が晴れたりすれば、短期間で改善します。
問題になるのは、「特に原因が思い当たらないのに続く食欲不振」です。この場合、何らかの病気が原因になっていることがあります。
お腹は空くけど食べたくない…食欲不振の症状セルフチェック
食欲不振は、さまざまな形で現れます。以下のような症状が1週間以上続き、原因が分からない場合には、一度当院にご相談ください。
- お腹は空いているのに、食欲が湧かない
- お腹は空いているはずなのに、空腹感を感じず、食欲もない
- 食べ始めてみるが、食べるつもりだった量を食べきれない
- 食べようとすると、吐き気や気持ち悪さを感じる
- あっさりしたものばかり食べてしまう
- 以前まで好きだったものを、おいしそうに感じない・おいしくなくなった
- 食事を楽しめなくなった、味や香りがしない
- 食事を摂るのを忘れてしまうことがある
- 食べないといけないと思うが、食べられない
食欲不振は何日続いたら
受診すべき?
受診が必要なのは、以下のようなケースです。
- 原因の分からない食欲不振が、1週間以上続いている
- まったく、あるいはほとんど食べていない状態が2日以上続いている
食欲不振があり、食べる量が少ない状態が続く・ほとんど食べられないと、低栄養状態になります。病気の発見、そして健康な身体を維持するため、いずれかに該当する場合は当院にご相談ください。
食欲不振の主な原因
食欲不振が起こる主な原因には、以下のようなものがあります。
消化器の病気
逆流性食道炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、あるいは肝臓・膵臓などの消化器の病気は、症状として食欲不振が現れることが多くなります。
その他の病気
甲状腺機能低下症、拒食症、うつ病、風邪、インフルエンザなど、さまざまな病気において、食欲不振が見られます。
過労・精神的なストレス
身体や心がひどく疲れている時は、栄養よりも安静が求められ、食欲が出ないことがあります。
自律神経の乱れ
ストレス、不規則な生活、睡眠不足などによって自律神経が乱れると、食べ物の消化がうまくいかず、空腹や食欲を感じるまでに時間がかかったり、そのタイミングがバラバラになることがあります。
食欲不振を伴う疾患・病気
消化器疾患を中心に、さまざまな病気で食欲不振の症状が見られます。
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染、薬の副作用などを原因として発症します。胃の痛み、食欲不振、胸やけ、胸痛、吐き気・嘔吐、嚥下障害などの症状を伴います。重症化すると、吐血や下血も見られます。
ウイルス性肝炎
ウイルス感染を原因として、肝臓で炎症が起こる病気です。慢性化すると、肝硬変や肝がんへと進行することがあります。症状はウイルスの種類によって異なりますが、食欲不振、吐き気・嘔吐、腹痛、黄疸、むくみ、腹水などが挙げられます。
急性肝不全
肝細胞が破壊され、肝臓の機能が急激に低下する病気です。黄疸、食欲不振、発熱、色の濃い尿、白っぽい便などの症状が見られます。進行すると、全身状態が悪化し、意識障害をきたします。
肝硬変
慢性肝炎に伴う長期の炎症によって、肝臓の組織が繊維化・硬化する病気です。肝臓機能が著しく低下すると、黄疸、食欲不振、出血のしやすさ、むくみ、腹水などの症状が現れます。
すい臓がん
はっきりとした原因は解明されていませんが、遺伝的要因・喫煙・肥満・慢性膵炎などが発症に影響していると言われています。かなり進行してから、腹部・背中の痛み、お腹の張り、食欲不振、黄疸、皮膚のかゆみなどの症状が現れます。
甲状腺機能低下症(橋本病)
女性に多い甲状腺疾患です。甲状腺ホルモンの分泌が低下し、甲状腺の腫れ、うつ傾向、疲労感、食欲不振、体重増加、皮膚の乾燥、月経異常などの症状が現れます。
拒食症(神経性食欲不振症)
自分の体重・体型に対する誤った認知(実際には痩せているのに太っていると思い込んでしまう等)によって、食事を摂れない、摂っても吐いてしまう・下剤を飲んでしまうといった症状・行動を示します。
うつ病
日常生活に大きな支障をきたす気分の落ち込みが続く病気です。意欲や関心の低下、動作緩慢、食欲不振、不眠/過眠、頭痛など、症例によってさまざまな症状が見られます。
食欲不振の検査・診断
問診・診察の上、必要に応じて血液検査、腹部レントゲン検査、腹部エコー検査、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)などを行い、診断します。
当院では、経鼻内視鏡や鎮静剤を用いた、専門医による苦痛の少ない胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を提供しておりますので、安心してご相談ください。
食欲不振の治療
原因となる疾患が見つかれば、その疾患に対する治療を行います。
また、必要に応じて以下のような治療も行います。
点滴治療
水分摂取・食事が困難で、脱水状態、低栄養に陥っている場合には、点滴によって水分や栄養を補給します。
薬物療法
吐き気止め、整腸剤など、症状に合わせてお薬を処方します。
生活習慣の指導
食習慣を中心とした生活習慣に乱れがある場合、その改善のための指導を行います。ストレスの解消、十分な睡眠の確保、規則正しい生活リズムによって、食欲不振などの症状の改善を図ります。
食欲不振のときに自宅でできる対処法
食欲不振を感じたら、まずは以下のような方法をお試しください。このような「きっかけ」を得ることで、食欲を取り戻せる・十分な食事を食べられることがあります。
我慢せずに「好きなもの」を食べる
ダイエットをしている方、忙しく食事が二の次になっている方は、食べたいものを我慢していたり、簡単な食事で済ませたりといったことをしがちです。ときどき、本当に好きなものを食べる機会・時間をつくりましょう。もちろん、自炊でなくテイクアウトや外食でも構いません。
料理にひと手間加える・食事の環境を整える
味付け・香りづけや盛り付けにこだわる、作ったことのない料理にチャレンジしてみる、大皿ではなく小鉢をたくさん並べてみるなど、普段とは少し違う、楽しくなるような食事もおすすめです。きれいなテーブルクロスを敷いてみたり、お花などで食卓自体を彩ったり、BGMをかけたりするのも良いでしょう。
「きちんとした食事を
摂らないといけない」という
考えにこだわりすぎない
毎日3食、栄養満点で、彩りの良い食事を摂ることができれば理想です。ただ、そういった考えに囚われすぎると、調理や食べることが負担になり、食欲が落ちるということがあります。時には、簡単な料理で済ませたり、テイクアウト・外食をしたりといったことで、息抜きをしましょう。
食欲を取り戻すための
生活習慣改善ポイント
ここからは、食事以外の面で、食欲を取り戻すためにできることをご紹介します。
規則正しい生活・十分な
睡眠・ストレスの解消
いずれも、自律神経のバランスを整え、胃腸の働きを正常化させてくれます。
適度な運動
運動は、胃腸を刺激すると同時に、カロリー消費を促進し、空腹や食欲を取り戻してくれます。ストレスにならない程度の、適度な運動を継続するのがおすすめです。
喫煙・飲酒を控える
喫煙は、食欲や味覚を低下させる原因となります。
またお酒の飲み過ぎは、食欲の低下を招きます。お好きな方が禁酒する必要はありませんが、適量に留めてください。
姿勢の改善
姿勢が悪いと、内臓が圧迫され、消化が遅れたり、不十分になったりといったことが起こります。特に、食事中や食後は姿勢に気をつけましょう。また食後すぐは、横にならないようにしてください。
消化を促進するツボ押し
「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」といった背中のツボを押すと、食欲不振の改善に効果があると言われています。
