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肛門科

肛門科について

肛門科について 肛門科では、肛門およびその周辺に現れる症状や病気を診療し、必要に応じて薬物療法・注射療法、さらに症状に応じた処置や治療に対応します。

肛門科で取り扱う病気としては、いぼ痔・切れ痔、肛門周囲膿瘍、痔ろう、肛門周囲炎などがあります。お尻の症状や病気は、周囲に気づかれにくい一方で、お一人でお悩みになっていることが少なくありません。他の病気と同様に、早期に治療を行う方がご負担が少なくなります。「恥ずかしいから」「痔だから」といった理由で放置せず、お早目に、お気軽に当院にご相談ください。
なお、お尻からの出血がある場合、痔の他に大腸の病気の可能性も考えなければなりません。当院では、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)にも対応しておりますので、安心して受診していただけます。

肛門の仕組みとその役割

肛門の仕組みとその役割 肛門の周囲には「肛門括約筋」という筋肉があります。内側の肛門括約筋は無意識に動きますが、外側の肛門括約筋は意識して動かすことができます。これに加えて静脈叢があることで、普段は隙間なく閉じることができます。排便がある時、おならが出る時、肛門が開きます。
また、肛門の皮膚、直腸の粘膜との境目のことを「歯状線」、歯状線の内側にあるくぼみのことを「肛門陰窩」と言います。それぞれ、いぼ痔や肛門周囲膿瘍・痔ろうなどに関連する部位となります。

肛門科を受診する方に
よくみられる症状

肛門科では、肛門、その近くで現れる症状について、幅広く診療します。
なかでもよく見られるのが、以下のような症状です。

肛門の痛み

排便時に痛むという場合は、いぼ痔、切れ痔を疑います。
排便時以外も痛むという場合は、いぼ痔(血栓性外痔核)、痔ろう、肛門周囲膿瘍などを疑います。
受診の際には、どんな時に痛むかをお聞かせください。

肛門のかゆみ

皮膚炎、尖圭コンジローマなどを疑います。
尖圭コンジローマでは、性器・肛門の周囲にカリフラワー状のイボができます。かゆみ・痛みは通常、軽微です。

排便時の出血

いぼ痔・切れ痔、あるいは大腸がんなどの大腸疾患を疑います。
当院では、大腸がんをはじめとする病気を早期発見できる大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)にも対応しております。

肛門周囲の腫れ

いぼ痔、直腸脱などが疑われます。
いぼ痔の場合は、いぼの脱出のタイミング(排便時のみ・常に出ている等)などをお伺いします。

肛門周囲のしこり

痔ろう、肛門周囲膿瘍、いぼ痔(血栓性外痔核)などを疑います。
いずれも、当院で治療が可能です。

便で下着が汚れる

きちんと拭いているつもりなのに下着が便で汚れてしまうという場合には、いぼ痔、痔ろう、肛門周囲膿瘍などを疑います。

肛門外科で対応する疾患

当院の肛門外科では、主に以下のような疾患の診断・治療を行います。

いぼ痔(内痔核・外痔核)

いぼ痔(内痔核・外痔核)

お尻の皮膚と直腸粘膜の境目を「歯状線」と言います。歯状線の内側にできるいぼ痔が「内痔核」、歯状線の外側にできるいぼ痔が「外痔核」です。内痔核が悪化すると、いぼが肛門の外に出てくるようになります。また、特に血栓が形成されて生じるものを、血栓性内痔核、血栓性外痔核と呼びます。
排便時のいきみ、長時間の座位・圧迫などが原因となります。排便時の出血、違和感などの症状を伴います。痛みの程度はさまざまです。

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切れ痔(裂肛)

切れ痔(裂肛)硬い便が通るなどして、肛門の皮膚が切れることを指します。肛門の痛み、出血を伴います。痛み・出血への心配から排便を我慢し、便秘が悪化し余計に便が硬くなり、何度も同じところが切れるというパターンがよく見られます。傷が治ったり切れたりを繰り返していると傷が潰瘍化したり、瘢痕化して肛門が狭くなったりして、排便そのものに支障をきたすようになります。

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肛門周囲膿瘍

肛門の内側には、肛門陰窩という小さなくぼみ(ポケット)が存在します。
下痢などの際にこの部分に便が入り込み、細菌感染を起こすことで肛門周囲に膿がたまる病気が肛門周囲膿瘍です。
肛門周囲膿瘍では、肛門のまわりが腫れて強い痛みが続き、38~39度の高熱を伴うこともあります。
この状態を放置すると、膿瘍が進行して肛門陰窩と皮膚の間にトンネル(瘻管)が形成され、痔瘻(あな痔)へと移行します。
実際、肛門周囲膿瘍の多くは痔瘻へ進行するといわれています。

あな痔(痔瘻)

あな痔(痔瘻)あな痔(痔瘻)は、肛門周囲膿瘍が進行してできるトンネル(瘻管)が皮膚とつながった状態を指します。
肛門の近くにできた外口(皮膚側の出口)から膿が出続ける、肛門周囲の腫れや痛みが現れるといった症状があります。
痔瘻は薬では治らず、根本的な治療には手術が必要です。
放置すると瘻管が枝分かれして複雑化し、治療が難しくなる場合がありますので、早めの受診と治療が大切です。
浅い痔瘻であれば日帰り手術も可能ですが、通常は再発防止や安全面を考慮し、入院手術をおすすめしています。

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肛門ポリープ

肛門ポリープ排便時に肛門からコリコリとした小さくて硬いできものが出てくる場合、肛門ポリープを疑います。単独で、または慢性の切れ痔に合併して発症します。大腸ポリープとは違い、がん化の心配はありませんが、治療では切除が必要になります。切れ痔を合併している場合には、その治療も必要です。

肛門周囲炎

肛門周囲の皮膚がかぶれた状態です。かゆみ、ヒリヒリ感などの症状を伴います。夜間に無意識に掻くなどして悪化するケースがよく見られます。排便後に紙で拭きすぎたり、温水便座シャワーでの洗いすぎ、入浴時の洗いすぎ、直腸で分泌される粘液(の拭き残し)・石鹸による刺激、カンジダなどの真菌が原因となります。真菌性であることが疑われる場合には、培養検査を行うこともあります。
拭きすぎ、洗いすぎによる炎症、粘液・石鹸などが原因であればステロイド軟膏を、真菌が原因であれば殺菌作用のあるクリームを使用します。痔によって皮膚がデコボコし、皮膚の清潔が保てず、治るのに時間がかかるということもあります。根本的・総合的に治療を行うことが大切ですので、かゆいだけだと侮らず、お早目にご相談ください。

尖圭コンジローマ

肛門周囲でウイルス感染し、イボが形成される病気です。イボは徐々に大きくなり、がん化することもあります。感染は性交渉を主な原因としますが、感染経路が特定できないケースもあります。肛門以外に、陰茎・膣にイボができることもあります。
いくつかの治療法がありますが、現在のところ切除する方法がもっとも予後が良好です。切除後も体内にウイルスが潜んでいるあいだは再発のリスクがありますが、切除を繰り返すことで、いずれ再発の心配もなくなります。一方、治療を中断した場合には元に戻ることがあるため注意が必要です。
ほとんどの場合、日帰りでの切除が可能ですが、広範囲に及ぶ場合には入院手術をおすすめすることがあります。
また現在、コンジローマの治療にはクリーム(ベセルナクリーム)も使用可能です。有効となる部位にできたものについては、手術ではなくこちらのクリームを使用します。

膿皮症(のうひしょう)

アポクリン腺という汗腺で細菌が繁殖し、お尻の皮下で炎症が生じ、腫れ・膿を伴う病気です。痔ろうを合併していることもあります。炎症の範囲は徐々に拡大し、何年も放置していると、最終的にはお尻全体がゴワゴワになり、さらに膿を伴うため、座ることさえ困難になります。
自然治癒はほぼ期待できず、治療では感染部を切除する手術が必要になります。取り残しがあると再発するため、正確に範囲を見極め、切除することが大切になります。範囲の狭いものであれば日帰り手術が可能ですが、広範囲に及ぶもの、痔ろうを合併しているものは、入院手術をおすすめします。

毛巣洞(もうそうどう)

皮下に毛が潜り込み、細菌が繁殖し、膿の出る穴の形成・腫れなどが起こる病気です。毛深い男性に多く、特に尾てい骨付近での発症が目立ちます。
自然治癒はほぼ期待できず、治療では手術が必要です。基本的には入院手術をおすすめします。

直腸脱

直腸を支える組織が弱化し、垂れ下がった直腸が肛門から出てしまう病気です。特に、高齢の女性によく見られます。
治療では手術が必要になります。全身麻酔下で、腹腔鏡を用いてお腹の中から直腸を固定する「腹腔鏡下直腸固定術」が基本となります。全身麻酔が難しい場合には、直腸粘膜を剥ぎ取り、腸を縫い縮めて固定する「デロルメ法」が選択されます。いずれの場合も、入院が必要です。

肛門括約筋不全

肛門が緩くなり、便の漏れが生じる病気です。ご高齢の女性によく見られます。
出産時の肛門括約筋の損傷、加齢による肛門括約筋の弛緩などが主な原因です。不適切な痔ろうの手術によって括約筋が傷つけられたというケースもあります。
多くは、便通のコントロール、肛門括約筋のトレーニングで改善します。ただ、肛門を形成する手術が必要になることもあり、その場合は入院期間が比較的長くなります。

妊婦の肛門疾患

妊娠中の肛門疾患として多くのが、いぼ痔・切れ痔です。投薬は、妊娠初期は控えますが、5ヶ月目あたりから可能です。これまで問題が起こったことはありませんが、何かご不安なことがございましたら、医師にお伝えください。
痛みなどの症状が耐え難い場合、妊娠中期に限り、手術が行われることがあります。身体的にも精神的にもストレスとなりますので、いぼ痔・切れ痔は妊娠前に治療しておきましょう。

小児の肛門疾患

子どもの肛門疾患としては、排便時の痛み、出血を伴う切れ痔が大半を占めます。便をやわらかくするお薬を飲んでいただき、軟膏を塗れば、比較的短期間で治ります。
また、乳児の男の子に多いのが、痔ろうです。肛門のまわりの腫れ・膿を伴います。溜まった膿を出してあげることを繰り返せば、多くの場合それで治ります。膿が出続ける場合には、手術を検討します。

直腸肛門痛

いぼ痔・切れ痔・痔ろうといった病気がないのに、直腸・肛門の痛みやかゆみが続く状態です。
夜間に急激に痛みが出る、座っている時に痛みが出る等、その症状の現れ方はさまざまです。肛門の感覚を司る陰部神経の過敏症や肛門挙筋の異常、肛門手術後のひきつれなどが原因になることがありますが、大半は原因を特定できません。
軟膏・消炎鎮痛剤は効かないことが多いため、筋肉の痙攣を改善する内服薬、うつ病の治療薬などを含めて、お薬を選択します。痛みが強い場合には、陰部神経ブロック注射を行うこともあります。

ホワイトヘッド肛門

1985年頃まで一般的に行われていた内痔核の手術(ホワイトヘッド手術)の後遺症です。直腸粘膜の脱出、出血などの症状を伴います。
粘膜の脱出が軽度である場合には、切除することで治ります。脱出が大きい場合には、PPHという機器を用いて粘膜を吊り上げ・固定する治療も行うことがあります。手術を行う場合には、病状によっては入院が必要になります。

直腸瘤

直腸と膣のあいだにある壁は、もともと薄く、加齢・出産によってさらに脆弱化します。すると、直腸の壁が膣側へと膨らみ、そのポケットに便が溜まるなどして、便の出づらさ・残便感が生じることがあり、これを直腸瘤と呼びます。特に、中年女性に多く見られます。
軽度であれば、緩下剤の使用、排便習慣の改善(いきまない等)によって軽快します。一方、重症例では脆弱化した壁を補強する入院手術が必要になります。

直腸粘膜脱症候群

排便時の強いいきみによって直腸粘膜が刺激され、出血、粘膜の脱出が生じる病気です。大腸カメラ検査では、直腸の潰瘍、粘膜の赤い腫れなどが認められます。
治療では、緩下剤による便通コントロール、排便習慣の改善(いきまない等)を行います。粘膜が飛び出す場合には手術を検討しますが、再発のリスクもあるため、慎重に判断します。

クローン痔瘻(じろう)

難病指定を受けるクローン病を原因とする痔ろうです。直腸に潰瘍が生じ、そこから皮膚とつながるトンネルが形成されます。重症例では、直腸が極端に狭くなり、便が出なくなることもあります。
痛みが続く・膿が出続けるといった場合には、手術を行います。トンネルの膿を取り除き、細いチューブを数か月間留置します。ただ、通常の痔ろうとは異なり完治は困難です。

直腸膣瘻
(ちょくちょうちつろう)

出産時の膣の壁の損傷、クローン病、直腸手術などを原因として、膣からガスが出る・便が出るといった症状をきたす病気です。
治療では、直腸と膣のあいだにできたトンネルを塞ぐ手術を行います。再発することがあり、入院も比較的長期に及びます。

パジェット病、ボウエン病
などの皮膚がん

肛門周囲にできるがんで、頻度の低い病気です。初期は単なる皮膚の炎症のように見えますが、軟膏を塗っても改善せず、徐々に悪化していきます。採取した組織を病理検査にかけ、初めて診断がつくケースが多くなります。
治療では、入院手術が必要です。場合によっては、直腸・肛門を取る直腸切断術が必要になることがあります。

肛門がん

肛門から3~4cmくらいの範囲に発生する、稀ながんです。一見すると痔核のようで、「市販のお薬を塗っても効果がない」とご来院されるケースがあります。
治療では、手術や放射線治療が行われます。

痔瘻がん

3型や4型の複雑痔ろうを10年以上放置した場合に、ごく稀に発生するがんです。
痔ろうが突然痛みだした、ゼリー状の分泌物が出てきたといった場合には、すぐにご相談ください。またこのような事態になる前に、早めに治療を受けましょう。
手術では、直腸と肛門を取り除く直腸切断術が行われます。

血栓性外痔核

下痢・便秘などで強くいきむことで血流障害が起こり、肛門の外側に血栓(血のかたまり)が生じる病気です。血栓は、硬いしこりとして触れることができます。また、強い痛みを伴うこともあります。
小さなものであれば、軟膏の塗布によって3~4週間ほどで治ります。
大きいもの・痛みが強いもの・薬で治らないものは、切開して血栓を取り除きます。こちらも、外来での処置が可能です。
ただ、肛門は痛みに敏感な部位です。当院では、治療の痛みを抑えるため、専門的な技術と経験を活かした切除を行います。

肛門科で実施する検査

肛門科では、主に以下のような検査を行います。
症状が軽微であるうちに受診していただくことで、検査や治療のご負担も軽くなります。症状・状況に応じた適切な検査を提案いたしますので、安心してご相談ください。

視診・触診

症状のある部位を中心に観察する「視診」、手袋をした指で肛門内を調べる「触診(直腸指診)」は、肛門科や肛門外科における検査の基本です。
傷・出血、腫れ、いぼ・しこり、圧痛の有無や程度などが分かります。ゼリーを用い、不快感・プライバシーに配慮しながら迅速に行いますので、安心してご相談ください。

肛門鏡検査

筒状の器具(肛門鏡)を肛門に入れ、肛門の中を直接観察する検査です。視診・触診では分からない、肛門内部の病変を確認できます。当院ではデジタル肛門鏡を導入しており、リアルタイムでモニターに写された肛門内の様子をご覧になりながら所見の説明をさせて頂きます。症状や病状に対する患者様の理解がとても深まり、大変有用な検査です。また必要に応じて、組織を採取して病理検査にかけることもできます。
ゼリーで滑りを良くして肛門鏡を挿入しますので、違和感はありますが痛みはほとんど感じません。

大腸カメラ検査
(大腸内視鏡検査)

大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査) お尻からの出血がある場合、血便または便潜血検査陽性である場合には、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を実施します。
痔、大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患など、肛門・大腸の病気の発見と診断に役立ちます。また大腸ポリープについては、発見したその場で切除することも可能です。
「痔だと思っていたら実は大腸がんだった」というケースは少なくありません。もちろん、痔も治療が必要な病気ですので、放置せずお早目にご相談ください。

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はじめて肛門科を
受診される方へ

1ご予約

まずはWebまたはお電話でご予約ください。ご予約なしでも受診は可能ですが、他の患者さんのご予約状況によっては、待ち時間が長くなることがあります。また、特に急激な強い症状でお困りの方は、緊急で肛門診察を行います。躊躇せずに、是非すぐにご来院ください。

2ご来院・問診票へのご記入

ご予約された日時にお越しください。
ご来院後、問診票へのご記入をお願いします。症状、既往歴、生活習慣などについてお尋ねします。
※ご予約の際にWeb問診にご記入いただいた方は、ご来院後の問診票へのご記入は不要です。

3診察・検査

医師による診察を行います。検査では、視診・触診(肛門・直腸指診)、肛門鏡検査、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)などの中から必要なものを選択・実施します。

4治療方針の説明

ここまでの内容をもとに、治療方針を立案し、説明します。肛門科では主に、薬物療法、注射療法、手術などを行います。説明についてご理解・ご同意いただけましたら、治療へと進みます。
※疾患・必要となる治療の内容によっては、提携する病院へとご紹介することがあります。

5治療・アフターフォロー

疾患・症状に応じた治療を行っていきます。特に手術を実施した場合は、創部が治癒するまで通院が必要となります。肛門は元々不潔な部位であるため、術後の傷は炎症を起こしやすく、出血、痛みの原因となります。せっかくいい手術を実施しても、術後の創部の管理が悪いと、一生使い心地の悪い肛門となってしまいかねません。いい肛門に仕上げてゆくには手術も大切ですが、術後の創部ケアも同等以上に重要です。術後の炎症をいかにコントロールして治癒に持っていくか、がポイントなのです。つまり、患者さんの自宅での創部ケアもとても大切な要素となってきます。術後は経過観察のため、何度かご来院をお願いいたしますが、責任をもって経過を診させて頂きますので、ご協力よろしくお願いいたします。

肛門科で実施する
痔の日帰り手術について

当院では、これまで数多くの肛門の手術経験がある医師が、日帰り手術を実施しています。
貴重なお時間を使っていただき、当院を選んでくださった以上は、できるだけご負担少なく、一度の手術でしっかりと治したいと当院は考えております。
ただ、肛門の手術後は、痛み・出血の管理、および排便コントロールが大切になりますので、当院では基本的に、それほど重症ではない疾患の日帰り手術にのみ対応いたします。
重症のケース、日帰りの手術を行うことで少しでもリスクが大きくなるケースについては、入院手術に対応する医療機関をご紹介します。
しかしながら当院では、多忙な働く世代、子育て世代、学業に忙しい学生さんなど、入院がなかなか困難な立場の患者さんの不安な気持ちに寄り添うべく、ご相談しながらできるだけ日帰り手術で治療できるように対応したいと考えております。他院で入院を勧められて途方に暮れておられる方、一度、当院で診させてください。ご病状によってはご期待に添えることができるかもしれません。当院では、痔の日帰り手術の限界に挑戦すべく、日夜取り組んでおります。

日帰り手術が可能なケース

主に、軽症~中等症の症例が対象となります。

  • それほど大きくない痔核の1~2個の切除
  • ALTA療法(ジオン注射による硬化療法)
  • 血栓性外痔核の切除
  • 軽症の裂肛
  • 浅い肛門周囲膿瘍(切開排膿術)
  • ごく浅い痔ろう
  • 皮垂(スキンタグ)切除
  • 肛門尖圭コンジローマ

ジオン注射の
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入院が必要なケース

  • 大きな痔核の切除、3個以上の痔核の切除
  • 重症の裂肛、肛門狭窄が起こっている裂肛
  • 深い肛門周囲膿瘍
  • 複雑化した深い痔ろう
  • 直腸脱
  • ご高齢の方(目安:70歳以上)
  • 遠方にお住まいの方
  • 重度の基礎疾患がある方

肛門科でよくある質問

肛門科ではどんな症状で受診すればいいですか?

肛門やそのまわりに現れる症状全般について、ご相談いただけます。よくあるのが、肛門の痛み・かゆみ、脱出、排便時の出血、肛門周囲の腫れ・しこり、下着が汚れるといったものです。その他、便秘や下痢の便通の異常についてもご相談いただけます。当院では、大腸の病気を早期発見できる大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)にも対応しております。

肛門科の診察はどんな内容ですか?恥ずかしくないですか?

症状については、問診票にご記入いただけます。また視診・触診(肛門・直腸指診)、肛門鏡検査、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)などにおいても、痛みはもちろん、恥ずかしさ・プライバシーに最大限配慮いたしますので、安心してご相談ください。何を恥ずかしいと感じるかは、患者さんによって異なります。こんなことが恥ずかしい・できればしたくないといったことがあれば、お気兼ねなくお申し出ください。また、当院は、胃腸科の患者様も来院されます。待合室では肛門科の患者様も胃腸科の患者様を同じ待合室ですので、どちらの科を受診するかはわからないようになっています。肛門科を受診することが恥ずかしいと感じられることもないでしょう。

いぼ痔と切れ痔の違いは何ですか?見分ける方法はありますか?

肛門の皮膚が切れるのが「切れ痔」で、肛門の内側や外側にいぼができるのが「いぼ痔」です。比較的見分けのつきやすい2つの痔ですが、正確な診断のためにはやはり受診が必要です。出血の原因が実は大腸の病気だった、切れ痔といぼ痔を併発していたといったこともありますので、「痔だからもう少し様子を見よう」「痔だから市販薬で治せる」といった決めつけはせず、お早目にご相談ください。

肛門科の検査は痛いですか?どんな検査がありますか?

患部を直接拝見する「視診」、手袋をした指を肛門に挿入する「触診(肛門・直腸指診)、筒状の器具を挿入して肛門の内部を観察する「肛門鏡検査」が基本的な検査となります。滑りを良くするゼリーを使用しますので、痛みはほとんどありません。その他、必要に応じて、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を行い、大腸全体の粘膜の状態を観察します。こちらも、鎮静剤を使用すれば痛みはほぼありません。
いずれの場合も、「強く痛むのに検査を続行する」ということはありませんので、安心してご相談ください。

いぼ痔の手術には、どんな方法がありますか?

いぼ痔の手術では、「結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)」を行います。痔核への流入する血管を縛ってその先の血流を止め、痔核を切除するという方法です。
症例によっては、いぼを硬化・縮小させるALTA療法(ジオン注射による硬化療法)なども選択されます。これは、傷がないため、より痛み、出血の少ない治療となります。痔核の状態に合わせ、これら単独、あるいは併用して手術を行います。

内痔核に対するALTA療法には対応されていますか?

ALTA療法は、ジオンという薬剤を痔核に注射し、イボを硬化・縮小させる治療です。痛みが少なく、切らずに治せる治療として有効ですが、デメリットとしては再発率が切除した場合に比べて高くなります。
当院では、痔核の診察でしっかり評価した上で、再発の可能性が低い病状の痔核には積極的にALTA療法を取り入れて手術をしています。また、どうしても切りたくない、痛み・切る手術がこわいといった患者さんにも、メリット、デメリットを丁寧に説明した上で、ALTA療法を行います。

内痔核に対するマックギブニー法には対応されていますか?

マックギブニー法は、痔核に特殊なゴム輪をかけ、縛り、組織を壊死・脱落させる治療です。日帰りでできる治療ですが、再発率が高いため、最初の治療として選択されることはおすすめしません。
基本的には、結紮切除術を行う際の補助的な治療として実施します。
ただし、ご高齢等の理由で手術が困難な場合には、マックギブニー法を単独で行うこともあります。

結紮切除術の後、再発する可能性はありますか?

経験の豊富な医師が正しく手術を行えば、再発の心配はほぼありません。
ただし、手術後の排便のコントロールが不十分であったり、排便時のいきみ癖を改善しない場合、あるいは加齢の影響で、再発の可能性が高まります。厳密には、再発というよりも、別の個所に新たに痔核が生じるケースがほとんどです。
いぼ痔のリスク因子となる便秘や下痢を改善することも大切です。

いぼ痔の手術で、肛門が緩くなったり、狭くなったりすることはありませんか?

いぼ痔の手術では、痔核だけを切除するため、深い層にある括約筋が傷ついて肛門が緩くなる心配はありません。痔核に関連して「肛門が緩くなる」というのは、内痔核に対して1985年くらいまで行われていた旧式の手術(ホワイトヘッド手術)によるものがほとんどです。
なお、「肛門が狭くなる」という症状については、不慣れな医師が内痔核の手術を行った場合には、起こり得る合併症と言えます。ただ、経験の豊富な医師が正しく手術を行えば、基本的に肛門が狭くなるという心配はありません。
何か心配なことがあれば、お気軽にお尋ねください。

痔核の手術を受ける場合には、どのような医療機関を選べばよいでしょうか?

痔核の術後には、痔の再発、肛門の狭窄、大量出血、強い痛み・腫れなど、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。決して、「簡単で安全な手術」ではないのです。
そのため、手術の経験が豊富な医師が在籍していることはもちろんですが、これらのリスクを十分に理解し、その対応策を講じている医療機関にご相談する、またはかかりつけ医で紹介してもらうことをおすすめします。
当院院長は日本大腸肛門病学会の肛門科領域の専門医、日本臨床肛門病学会技術認定医であり、これまで数多くの肛門の手術を行って参りました。この2資格を持つ肛門外科の専門医は日本では少数です。正しい知識・技術をもとに、痔核を含めた肛門疾患の日帰り手術を行って参りますので、どうぞご安心ください。
なお、先述したリスクを考慮し、大きな痔核・多数の痔核に対する手術については、入院設備の整った医療機関をご紹介することもあります。

肛門からの出血は痔だけが原因ですか?他の病気の可能性もありますか?

割合としては、いぼ痔・切れ痔が多くなります。しかし、大腸ポリープ・大腸がん・炎症性腸疾患・感染性腸炎など、大腸の病気によって肛門から出血する・血便が出るといったこともあります。特に大腸がんは、命にかかわる病気です。また痔を含め、他の病気も放置して良いものではありません。一度でも出血があった場合には、万が一の可能性も考え、お早目に当院にご相談ください。便潜血検査で陽性だった場合も同様です。

切れ痔による出血があるようです。少量なので、もう少し様子を見てもいいでしょうか?

お尻からの出血がある場合、必ず疑わなくてはならないのが、大腸がんです。切れ痔・いぼ痔だと思っていたら、実は大腸がんだったというケースは決して少なくありません。そのため、若い方で、明らかに肛門からの出血であると断言できない限り、大腸カメラ検査をおすすめします。また同時に、放置せず、お早目の受診をおすすめします。

日帰り手術では、どのように麻酔をかけますか?

腰椎麻酔、仙骨硬膜外麻酔、局所麻酔、静脈麻酔など、さまざまな方法があります。いずれも長所と短所があるため、症例、患者様のご希望などを考慮し、適切な麻酔法を選択すること・必要に応じて組み合わせることが大切になります。
安全を最優先した麻酔・手術を行います。何かご心配な点がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。

日帰り手術の麻酔法の特徴を教えてください。

日帰り手術で行う麻酔法は、麻酔薬中毒という合併症の心配がなく、安全性が高いという特徴があります。もちろん、手術中に痛みを感じることはありません。また、半分眠ったような状態で、恐怖心を取り除くということも可能です。
通常、手術後1~2時間で意識や足取りがしっかりとし、歩いてお帰りいただけます。