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胃潰瘍

胃潰瘍とはどんな病気?

胃潰瘍とはどんな病気?胃潰瘍とは、胃の粘膜が深くえぐれてしまう病気です。
胃壁は最上層の粘膜層、その下の粘膜下層、筋層、漿膜といった構成になっており、胃潰瘍はこのうちの粘膜下層まで傷ついている状態を指します。
適切な治療により多くは短期間で改善しますが、再発を繰り返すケースも少なくありません。年代別では、40~50代での発症が目立ちます。

胃潰瘍の症状

胃の痛み

胃潰瘍の代表的な症状です。胃潰瘍と十二指腸潰瘍では非常に似通った症状が見られますが、胃潰瘍の場合は胃痛が食事中や食後に、十二指腸潰瘍では胃痛が空腹時に現れやすいと言われています。
ただ、痛みの強さは重症度と必ずしも比例せず、かなり進行しているのに痛みがないということもあります。傷が深くなり、穿孔性潰瘍(胃の壁に穴があくこと)を起こすと、緊急手術が必要になります。

吐き気・嘔吐・ゲップ・呑酸

胃酸の分泌が過剰になっていることが多いため、しばしば吐き気・嘔吐、ゲップ、呑酸の症状が見られます。
呑酸とは、酸っぱい胃酸がせり上がってくる症状です。

食欲不振・体重減少

胃の痛みや吐き気、嘔吐、呑酸によって食欲不振に陥ることがあります。またその状態が続けば、体重も減少します。

吐血・下血

潰瘍が深くなり、粘膜下層の血管が破れると、出血します。出血量が多い場合には、吐血や下血といった症状が見られることもあります。
なお胃潰瘍や十二指腸潰瘍の下血は通常、どす黒いタール便として認められます。血液が胃酸と混じり、時間が経ち酸化することで、このような色になります。

背中の痛み

潰瘍が深くなったり、炎症が膵臓に及んだ場合に、背中の痛みを感じることがあります。

口臭が強くなる

胃・十二指腸潰瘍では、腐った卵のような、独特の口臭がすることがあります。

胃潰瘍の原因と悪化要因
(ピロリ菌感染・ストレス)

ピロリ菌感染やNSAIDs(消炎鎮痛薬)の長期使用

ピロリ菌感染やNSAIDs(消炎鎮痛薬)の長期使用胃潰瘍の代表的な原因が、ピロリ菌感染です。ピロリ菌が出す毒素によって粘膜が傷つき、潰瘍となります。
また、NSAIDs(消炎鎮痛薬)の副作用によって、胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの働きが抑えられ、胃潰瘍を発症することがあります。

ピロリ菌について
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ストレス・喫煙・飲酒

ストレスが自律神経のバランスを乱し、胃酸の過剰な分泌、胃粘膜の血流低下を招くことで、胃潰瘍が起こりやすくなります。
また、胃粘膜の血流を低下させる喫煙、胃粘膜を刺激する飲酒も、胃潰瘍のリスクを高めるものと考えられます。

その他

その他、刺激物や熱すぎるもの・冷たすぎるものの摂り過ぎ、暴飲暴食・早食いなども、胃酸の過剰な分泌を招き、胃潰瘍のリスクを高めることがあります。

胃潰瘍の検査

胃潰瘍が疑われる場合には、問診・診察の上、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)や血液検査を行います。

胃カメラ検査
(胃内視鏡検査)

口または鼻から内視鏡を挿入し、胃の粘膜を直接観察する検査です。胃がんが疑われる場合には、組織を採取して病理検査を行い、確定診断をします。また、組織を採取してピロリ菌検査を行ったり、止血処置をしたりといったこともできます。
当院では、鎮静剤、経鼻内視鏡を用いた、専門医による苦痛の少ない胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を行っております。

胃カメラの
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血液検査

ヘモグロビンの値が低い場合には潰瘍からの出血を、白血球・CRPの急上昇が見られた場合には穿孔や腹膜炎を疑ったりと、病態を把握するのに役立ちます。

胃潰瘍の治療

胃潰瘍の治療では、薬物療法・生活習慣の改善を行います。またピロリ菌検査で陽性であった場合には、ピロリ菌の除菌治療を行います。

薬物療法

薬物療法胃酸分泌抑制剤を中心に、吐き気止め、胸やけを抑える薬、痛み止めなど、症状に応じたお薬を使用します。

生活習慣の改善

暴飲暴食、刺激物の摂り過ぎ、喫煙、ストレスなどの悪化因子があれば、その改善のための指導を行います。

ピロリ菌の除菌治療
(陽性の場合)

ピロリ菌検査を行い、陽性であった場合は、ピロリ菌の除菌治療を行います。ピロリ菌の感染は胃潰瘍の最大の原因となるため、再発防止のためにも、除菌治療が必須です。

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胃潰瘍になったときの
食事のポイント

治療を開始する際に改めてご説明いたしますが、胃潰瘍の治療中は以下のような点に気をつけることが大切です。

出血や深い潰瘍がある場合は絶食で胃をしっかり休めましょう

潰瘍が深い場合、出血している・出血のリスクが高い場合には、絶食が必要です。そのあいだは、点滴などで栄養を補います。
自己判断で食事を再開することのないよう、ご注意ください。

急性期は「潰瘍食」で胃への刺激を避ける

急性期には、消化の良いものを中心に食事を摂ります。反対に、胃粘膜を刺激するもの・胃酸の分泌を促進するもの・脂肪や食物繊維が多いものは避ける必要があります。
治療の際には、詳しく指導を行います。

避けたい食べ物

症状が落ち着いてからも、アルコールはもちろんですが、カフェイン入り飲料、炭酸、香辛料などの刺激物、脂っこいもの、酸味が強いもの、熱すぎるものなどは控える必要があります。

消化の良い食べ物

おかゆ、うどん、ゼリー、豆腐、納豆など、消化が良く胃に優しい食品を中心とした食生活を送りましょう。
胃潰瘍が完治すれば普段の食事に戻せますが、胃潰瘍の再発防止、他の病気の予防のためにも、必要に応じて食生活を見直しましょう。