- 体重減少率の目安とBMIを活用した
セルフチェック方法 - 体重減少とは
- 体重減少とあわせて見られる主な症状
- 緊急性のある体重減少
- 体重減少の原因となる病気は?
食欲がある場合でも注意が必要!? - 体重減少の検査・診断
- 体重減少に対する治療
体重減少率の目安とBMIを
活用したセルフチェック方法
摂取カロリーより消費カロリーが多いと、体重は減少します。食事量を減らす、あるいは運動量を増やしたわけでもないのに体重が減少するという場合は、「体重減少」という症状として捉える必要があります。低栄養になったり、何らかの病気によって、体重が減っていることが考えられるためです。
ここでは、体重減少率から見る健康リスク、BMIに基づいた体重の目安についてご紹介します。
変化を正しく把握するには計測時の条件を揃えることが大切なので、「起床後、排泄を済ませて食事を摂る前」等、決まったタイミングで量るようにしてください。
体重減少率
体重減少率は、ある一定の期間で、どれくらい体重が減ったかを表します。
ご自身の体重を以下の式に当てはめ、健康リスクの判定をしてみましょう。中リスクまたは高リスクの判定であった場合には、一度当院にご相談ください。
(通常の体重―現在の体重)÷通常の体重×100=体重減少率
| 低リスク | 中リスク | 高リスク | |
| 1ヶ月 | 3% 未満 |
3%以上 ~ 5%未満 |
5% 以上 |
| 3ヵ月 | 5%以上 ~ 7.5%未満 |
7.5% 以上 |
|
| 6ヶ月 | 7.5%以上 ~ 10%未満 |
10% 以上 |
BMI
BMIとは、身長・体重から算出される、肥満度を表す指標です。
厚生労働省が公表する「日本の食事摂取基準」では、各年代における目標BMIは以下の表のようになっています。基準となる範囲を下回っている、あるいは上回っている場合には、生活習慣病なども疑い、一度ご相談ください。
BMIは、ご自身の体重、身長を以下の式に当てはめて算出します。
体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)=BMI
| 年齢(歳) | 目標とするBMI |
|---|---|
| 18-49歳 | 18.5~24.9 |
| 50-64歳 | 20.0~24.9 |
| 65歳以上 | 21.5~24.9 |
体重減少とは
医学的な体重減少とは、食事・運動習慣を特に変えていないのに、6~12ヶ月で4.5kg以上の体重の減少、または5%以上の体重減少がある状態を指します。このいずれか、または両方に当てはまる場合には、何らかの病気の影響で体重が減っている可能性があります。
病気を早期発見するため、また正確な健康管理を行い病気を予防するため、日ごろから体重を量る習慣を身につけることをおすすめします。体重減少が見られる場合、お気軽に当院にご相談ください。
※体重の評価の仕方は、1つではありません。上記のいずれにも当てはまらない場合でも、先述した体重減少率において中リスク・高リスクの判定が出た方、BMIが基準値から外れている方は、受診しその原因を調べることをおすすめします。
体重減少とあわせて見られる
主な症状
体重減少とセットで認められることの多い症状には、以下のようなものがあります。
症状ごとの、考えられる病気についてご紹介します。
吐き気、嘔吐、気持ち悪い
考えられる病気
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 腸閉塞(イレウス)
- 食道がん
- 胃がん
- すい臓がん
- 大腸がん
- 機能性ディスペプシア
- うつ病
- 自律神経失調症 など
胸焼け
考えられる病気
- 胃食道逆流症
- 逆流性食道炎
- 食道アカラシア
- 食道がん
- 胃がん
- 機能性ディスペプシア
- 自律神経失調症 など
腹痛
考えられる病気
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 慢性便秘
- 胃がん
- すい臓がん
- 大腸がん など
黄疸(皮膚・目が黄色い)
考えられる病気
- すい臓がん
- 胆管がん
- 肝細胞がん など
発熱
考えられる病気
- 細菌感染
- 各種がん など
動悸
考えられる病気
- 甲状腺機能亢進症
- 自律神経失調症
- うつ病 など
むくみ
考えられる病気
- 肝細胞がん
- 糖尿病性腎症 など
貧血
考えられる病気
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 食道がん
- 胃がん
- 大腸がん など
緊急性のある体重減少

- 1ヶ月で2kg以上の体重減少
- 皮膚・白目が黄色っぽくなる黄疸を伴う
- 息切れ、めまい、ふらつきを伴う
- 食欲がなく、食事量が極端に減った
- 微熱が続いている
体重減少の原因となる病気は?食欲がある場合でも
注意が必要!?
体重減少を伴う病気としては、消化器疾患、がんなどさまざまなものが挙げられます。
ここでは、食欲と体重減少に着目し、パターンごとに疑われる病気についてご紹介します。
- 食欲不振・体重減少の両方がある
- 食欲不振があるが、体重はほとんど減っていない
- 食欲不振がない・たくさん食べているのに、体重減少がある
①食欲不振・体重減少の両方がある
- 胃・十二指腸潰瘍
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 腸閉塞
- 食道がん
- 胃がん
- 大腸がん
- すい臓がん
- 肺がん
- 膀胱がん
- 白血病
- 悪性リンパ腫
- 甲状腺機能低下症
- 高カルシウム血症
- 低カリウム血症
- うつ病
- 拒食症
- 自律神経失調症
- 認知症
②食欲不振があるが、体重はほとんど減っていない
この場合には、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、食道アカラシアなどの病気が考えられます。
機能性ディスペプシア
胃もたれや胃痛、食欲不振が認められるにも関わらず、検査では器質的な異常が見つからない病気です。発症には、ストレスが大きく影響しているものと考えられています。
食道アカラシア
食道の動きが悪くなり、飲食物をスムーズに嚥下できなくなる病気です。飲み込みづらさ、胸やけ、胸痛、胃痛、食欲不振などの症状が見られます。
③食欲不振がない・たくさん食べているのに、体重減少がある
代表的な疾患に、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、糖尿病が挙げられます。その他、消化器疾患でも、同様の症状が見られることがあります。
クローン病
潰瘍性大腸炎とともに、炎症性腸疾患に分類されます。ただクローン病は、小腸・大腸を中心としながら、口~肛門までのすべての消化管で炎症が起こり得る病気です。腹痛や下痢、血便などの症状がよく見られます。
甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、動悸、頻脈、多汗、体重減少(食べても太らない・痩せる)、疲労感、イライラなどの症状が引き起こされます。
糖尿病
血糖値が高くなる生活習慣病です。症状としては、のどの渇き・多飲、頻尿・多尿、空腹感・体重減少などが挙げられます。
吸収不良症候群
腸からの糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・水分などの吸収がうまくいかなくなる病気です。
体重減少の検査・診断
問診・診察の上、必要に応じて血液検査、尿検査、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)などを行い、診断します。CT検査が必要になることもあります。
当院では、鎮静剤を用いた、専門医による苦痛の少ない内視鏡検査を行っております。初めての方も、安心してご相談ください。
※当院では、CT検査・MRI検査は行っておりませんが、必要に応じて連携医療機関をご紹介いたします。
体重減少に対する治療
原因となる疾患が発見されれば、その疾患に対する薬物療法・生活習慣指導などを行います。
低栄養などを防ぐため、必要に応じて以下のような食事療法も行います。
- 1回の食事量を減らし、代わりに食事回数を増やす。
- 味、香りなどにより、食欲を促す。
- 栄養価の高いメニューを提案する。
- 補助的にサプリメントを使用する。
